【GPレポート】6月27日 全関東学生ダートトライアル選手権大会

2021年6月27日、栃木県の丸和オートランド那須にて、全関東ダートトライアル選手権大会が開催されました。天候が心配されましたが、当日の天気は晴れ。コースレイアウトの改修が入った新生丸和で行われる初めての学生大会という事で、今までにない展開が予想されます。

 丸和の走行機会が限られている中、例年にないほど早い時期からダートトライアルの練習を開始した早稲田大学自動車部。他大学と比較して多くの練習機会の確保に成功したものの、その道のりは平坦なものではありませんでした。大会一か月前に男子試合車輌の横転というアクシデントに見舞われ、2年前の大会で優勝したインテグラが使用できなくなってしまったのです。しかし、2週間で新たな試合車輌を製作し、出走させることに成功します。とはいえ、実際の試合車輌で満足な練習を行う時間は残されておらず、一抹の不安を抱えながら大会当日を迎えました。

まさかの横転を喫した先代の試合車輌

 男子車両として投入されたのは、黒をメインカラーとしたホンダ・インテグラType R(E-DC2)。2017年にジムカーナ車輌として投入され、全関東ジムカーナで早稲田に団体優勝をもたらしました。しかし、その後は試合車輌として使用されることは無く、不動車輌として安置される日々が続いていました。今までの車輌が横転してしまった事を機に黒インテグラを復活させることが決定し、先代車輌の多くの部品が移植されました。

 女子車輌としては、インテグラと同じカラーリングを纏ったトヨタ・スターレット(EP82)を製作しました。長年の伝統とノウハウが蓄積されたこの車輌は、選手の大沼曰く「よく止まる、よく曲がる、よく走る」という基本が高次元でまとまったクルマです。女子の部優勝はもちろん、男子の部でも入賞相当のタイムが期待されます。

 午前9時30分、いよいよ男子の部最初の走者がスタートしていきました。天候が崩れる予兆もなく、大会はこのままドライ路面で推移していくかと思われます。今大会もジムカーナ同様午前・午後でそれぞれ1回ずつ走行し、計2回のうち良好なタイムをもって順位決定がなされます。男子団体の部は、3名の選手それぞれの選手のベストタイムの合計で順位が決まるため、団体優勝のためには選手全員が良いタイムでゴールすることが重要となります。

 早稲田の第一走者は3年、神林崇亮。5月のジムカーナでも選手として出場した神林は、舗装路と未舗装路が入り混じる難しいコースに臆せず立ち向かい1:27.304というタイムでゴール。第一走者としては悪くない走りでしたが、「アクセルを踏めなかった」と語る神林、午前は不本意にも12位となりました。

 続いて女子の部、4年の大沼すず音が出走です。2年前のダートトライアル大会では当時の早稲田の4年生に及ばず2番手という結果でしたが、今回は2番手以下を大きく引き離す1:27.493でトップタイム。これでも大沼は「タイムを詰める事ができなかった」と語り、午後の走行で更なるタイムアップを狙います。

他大学の選手を圧倒した大沼とEP82スターレット

 男子の部、第二走者は3年の中野龍太。スピード競技の選手としては初めての大会になりますが、ここで中野はこの時点でのトップタイムとなる1:23.766をマーク。その後、他の選手にタイムを更新されてしまうものの、全体でも2番手で前半を折り返します。

 第三走者は全関ジムカーナの覇者、3年最上佳樹です。練習会でも頭一つ抜けたタイムを記録している最上は、今大会でも優勝が期待されます。しかし、序盤の舗装路に追加されたパイロンセクションでまさかのパイロンタッチ。1:20.062というトップタイムを記録するものの、ペナルティ加算で午前7位に終わります。

痛恨のPTとなった最上

 午前の走行が終わり、昼休みに入ります。午前の段階で男子団体3位、女子は大沼が大差で1位という状況。男子団体も3位とはいえ、トップからは0.8秒差であり、必要以上の緊張をすることなく昼休みを過ごすことができました。上級生が監督しつつ、1年生や2年生が車輌の整備を行い、午後の走行に備えます。当初の雨の予報が完全に外れ、ドライで砂利のはけた路面になることから、午後は各選手がタイムを上げてくることが予想されました。

 午後の走行が始まり、第一走の神林がスタートします。昼の慣熟歩行で問題点を洗い出した神林は、1:23.049というタイムを記録し5番手にジャンプアップ。4秒以上のタイムアップに成功した神林の活躍で、早稲田が団体首位を奪取します。

好走を見せる神林

 続いて女子の部、大沼の出走。暴れるマシンをものともせずアクセルを踏みぬき、こちらも1:24.241というタイムをマーク。女子の部2番手に7秒という大差を付け、男子の部10位相当のタイムで優勝を飾りました。「もっと上を目指したい」と語る大沼は、全日戦で更なる飛躍を誓います。

 続いては男子の第二走、中野です。「神林の好走で気が楽になった」と語る中野、今までで最高の走りを見せタイム更新が期待されましたが、終盤のジャンピングスポットで姿勢を崩し万事休す。タイム自体は更新したものの、PT3となり個人8位で大会を終えました。

 最後の出走となるのは3年、最上佳樹。午前はまさかのペナルティに沈みましたが、2度同じミスを繰り返すことはしません。午前のタイムをさらに1秒縮め、1:19.281というタイムでゴールイン。個人優勝はもちろん、男子団体優勝も決める走りでした。

 最終結果は以下の通りとなります。

【男子団体の部】

優勝 早稲田大学 (4:06.096)

準優勝 慶應義塾大学 (4:11.651)

3位 中央大学 (4:12.846)

【男子個人の部】

優勝 最上佳樹 (1:19.281)

5位 神林崇亮 (1:22.112)

8位 中野龍太 (1:23.049)

【女子個人の部】

優勝 大沼すず音 (1:24.241)

大会連覇に成功した

前大会の全関東ジムカーナに続き、今大会でも最高の結果を残すことができました。2019年に続く大会連覇となります。また、3つの関東大会の総合成績で争われる全関東総合杯の獲得も確実になりました。大沼と最上の両名は、今回の優勝をもって出場3大会全てで個人優勝を果たすという快挙を成し遂げました。このような結果を残すことができましたのも、日頃より応援してくださっている皆様のおかげです。この場をお借りしまして、改めて深く感謝申し上げます。

次大会は8月1日の全日本ダートトライアルです。広島県のテクニックステージタカタが舞台となり、早稲田にとってはアウェー戦となりますが、全日本戦でも『常勝早稲田』を実現すべく、精一杯努力して参ります。

今後とも早稲田大学自動車部へのご支援、ご声援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

久しぶりの集合写真