【GPレポート】2021年全関東学生ジムカーナ選手権大会

 今回行われた全関東学生ジムカーナ選手権大会の当日の模様をまとめましたので、結果報告とともに掲載させていただきます。

 5月16日、静岡県の富士スピードウェイジムカーナ場にて、全関東学生ジムカーナ選手権大会が開催されました。当日の天気は雨、気温や路面温度も上がらず、波乱の大会を予感させるコンディションとなっています。

 2020年度、早稲田大学自動車部は『常勝早稲田』を掲げ、全日総合杯の防衛に挑もうとしていました。ところが、新型コロナウイルスの影響によりスピード競技大会は全て中止となり、総合杯も不成立。eSportsという新たな取り組みは行われたものの、やはり自動車部としてはやり場のない悔しさが残る1年となりました。

 そして今、2021年、2年ぶりとなる富士での全関東ジムカーナは、スピード競技シーズンの幕開けとなる重要な1戦。完全制覇を目指す早稲田大学自動車部は、並々ならぬ想いでこの大会を迎えました。

 投入する車輌は鮮やかな黄色に彩られたホンダ・インテグラType R(E-DC2)。2019年の全関東ジムカーナでデビューを果たし、2020年唯一のスピード競技大会となった12月の関東学生ジムカーナ記念大会では男女優勝を果たした実績十分な車輌です。テストを重ね、「過去最高」ともいえる状態で大会に臨みます。とはいえ、コロナ禍で活動が制限されていたため、雨の富士は未経験。番狂わせが起こらないよう、十分に整備をして出走を待ちます。

出走を待つ第一走者、最上

 午前9時30分、対面では開会式もドライバーズミーティングもなく大会が始まり、男子の部最初の出走者がスタートしていきました。天候は回復せず、気温も上がらない状況です。男子の部、女子の部共に午前・午後でそれぞれ1回ずつ走行し、計2回のうち良好なタイムをもって順位付けが行われます。男子団体の部は、3名の選手それぞれの選手のベストタイムの合計で順位が決定されます。つまり、団体優勝をするためには、エース1人のみならず、3人の選手それぞれが速さを持っていなければなりません。

 早稲田の第一走者は3年、最上佳樹です。公式戦出場は初めての最上、「目標は完走」と控えめに語りますが、昨年度末の記念ジムカーナにてオープン枠で出走し、表彰台圏内と同等のタイムを出した経験があります。そんな最上は難しい雨のコースを難なく走り切り、57.191というタイムで首位に立ちます。

続く走行は女子の部、4年大沼です。2019年大会後の留学により、ジムカーナはおろか自動車の運転そのものにもブランクがある状態でしたが、帰国後の猛練習で後れを挽回。今大会でもその練習の成果を存分に見せつけ、1:05.203のタイムを残します。

トップタイムを叩き出した大沼

男子の部に戻り、続いての走行は男子の第二走、4年藤岡です。昨年度末の全関東記念ジムカーナでも男子団体優勝に貢献した藤岡ですが、今大会も優勝に向けやる気は十分。58.203を記録し、最上に続きます。

 午前最後の走行は男子の第三走、3年神林です。スピード競技初出場となる神林ですが、日頃より個人練習を欠かさない努力家で、その実力は折り紙付きです。初めての大会で第三走者というプレッシャーに打ち勝ち、しっかり1:00.937という記録を残しました。

午前の走行が終わり、昼休みに移ります。選手は慣熟歩行に出発し、その他の部員は車輌のメンテナンスを行います。今大会は感染症対策のため、入場できる整備要員はたったの2人。一部の部員は会場に来ることすらかなわず、部室からライブ中継を眺めて応援することしかできません。それでもなお、勝利を目指す早稲田の想いは一つです。富士スピードウェイにいる6名の部員が、会場にいない部員の分まで、それぞれの仕事に励みます。この時点で男子団体は後続に8秒もの差をつけて第1位、男子個人、女子個人の部でも最上、大沼がそれぞれ首位に立っており、前半を折り返す事となりました。

部室からライブ配信を見守る1年生

 13時を回り、雨が降ったりやんだりのコンディションの中、午後の走行がスタートします。午前を首位で折り返した第一走者の最上、優勝を確実にするため、更なるタイムアップが求められます。ここで最上は56.742をマーク。自身のトップタイムをコンマ4秒以上更新し、後続を突き放します。

 続いて女子の部の大沼が出走します。こちらも個人優勝を盤石なものにするべく、大沼は午前より攻めた走りを見せます。大沼も1:03.508とタイムアップ。女子の部優勝を確実なものとしていきます。

続いては男子第二走者の藤岡。この時点で、タイムアップをしてきた他大学に団体首位を奪われており、藤岡には重圧がのしかかります。しかし、藤岡はそんな重圧をものともせず、57秒663というタイムをマーク。再び順位を逆転し、団体優勝へと突き進みます。

最後の出走へと臨む神林

いよいよ最後の走者、神林の出走です。雨がひときわ強くなる中、神林は冷静なドライビングを見せ、コンマ7秒のタイムアップ。1:00.200を記録し、早稲田勢は全ての走行を終えました。

全員の走行が終了し、早稲田大学は男子団体で優勝、女子個人の部でも優勝が確定しました。結果は以下の通りとなります。

【男子団体の部】

優勝 早稲田大学 2:54.605

準優勝 芝浦工業大学 2:55.504

3位 慶應義塾大学 3:01.239

【男子個人の部】

優勝 最上佳樹 56.742

3位 藤岡慶 57.663

12位 神林崇亮 1:00.200

【女子個人の部】

優勝 大沼すず音 1:03.508

今回の全関東ジムカーナは、新シーズンの滑り出しとして、最高の結果を納めることができました。全関東ジムカーナ男子団体の部での優勝は2017年以来4年ぶり、男女同時の優勝は手元に資料がないほどに久方ぶりのこととなりました。このような結果を残すことができましたのも、日頃より応援してくださっている皆様のおかげです。この場をお借りしまして、改めて深く感謝申し上げます。

『常勝早稲田』の実現に向け、次大会となります全関東ダートトライアル、また夏に控える全日本戦でも最高の結果を残せるよう、精一杯努力して参ります。

今後とも、早稲田大学自動車部へのご支援、ご声援のほど、何卒よろしくお願いいたします。