【GPレポート】3/14 全関東フィギュア

 2021年3月14日、東京都・世田谷区の警視庁交通安全教育センターにて、全関東学生自動車運転競技選手権大会(通称:全関東フィギュア)が開催されました。

 2021年度の最初の公式大会は、新型コロナウイルスが猛威を奮っていた時期ということもあり、緊急事態宣言下という特殊な環境で開催されることになりました。そのため、少しでも感染のリスクを抑えるべく、様々な対策がされた中で行われた大会でした。緊急事態宣言が延長される3月7日以前には行われる予定であった新人の部が中止となり、入場できる人員が各大学で選手3人とコーチ4人に制限され、入場時間も1時間だけに制限される等、2020年の全日フィギュアに近い、選手にとってシビアなコンディションとなりました。

 前日の雨風が厳しく、当日の天候が心配されましたが、大会当日は選手を歓迎しているかのように快晴となりました。しかし、会場が川沿いにあるということもあり、よろけるほどの強い風が吹く場面もあり、万全のコンディションとは言い難い状況です。

 早稲田が会場入りするのは10時。前走者しか観戦できないという状況ではありますが、前走は全日フィギュアで団体優勝を果たした慶應義塾大学。前回王者の走りを観察することができる絶好の機会です。とはいえ、慣熟歩行の時間はあまりに短く、コースによっては5分程度の時間しか与えられません。前大会同様、クローズドコースで争われるため、前日夕方に発表されたばかりであったほぼ初見のコースを、短い時間で攻略法をイメージし、ミス無く、かつ素早く走りきらなければなりません。まさに、真の運転操作技術が問われる大会となりました。

 開場から30分後、男子4選手が一斉にスタート。続いて、女子2選手も走行スタート。今大会も入場制限が行われており、細かな記録をすることが出来なかったため、グランプリレポートの方は走行後の各選手の感想を基にお伝えさせていただきます。

 乗用Aを走るのは3年の中野龍太。今大会における乗用のエースです。普段の練習から丁寧でかつ基本に忠実な走行を意識している中野は、本番でも見事に接や缶等のペナルティ無しで帰ってくることに成功します。しかし教習所特有の特殊なコースで苦しんだか、タイムが伸びず3番手という結果に終わります。本人も「ペナルティが無かったことが唯一自分を褒められる点。1位を取ることが出来ずに本当に申し訳ない。」と語ります。

 乗用Bを走ったのは同じく3年の神林崇亮。接戦となった選手選考を勝ち抜き、出場を決めた注目の選手です。序盤では難所となる1輪確をスムーズにパスし、好調かと思われたましたが、本番の緊張からか練習ではしないミスをしてしまいます。ペナルティこそ接1つで抑えたものの、タイムを大きく落としてしまい6番手。神林は「なかったことにしたいほど」と語るなど、乗用はAB共に悔いが残る結果となりました。

 貨物Aの選手は3年、最上佳樹。前大会に出場した2名の選手の穴を埋める、早稲田期待の新エースです。「直前に走った選手が思ったよりも苦戦していたため、気持ちを落ち着けて走ることが出来た。走るからには優勝を目指す。」と話す最上は、その宣言通り、練習と変わらぬ完璧な走りを貫き、貨物Aの優勝を勝ち取ります。


 今大会唯一の4年にして、今年度主将、山田龍は貨物Bに出走。素早い走りでゴールしますが、狭路で痛恨の接を記録。このペナルティが決定打となり、逆転で準優勝となってしまいました。山田は「ペナルティをしてしまったが、そこまで順位が落ちずに逆に驚いている。1位の慶應の選手に4点差で負けたことは本当に悔しい。」と語りました。

 続いて女子の選手が出走しました。女子乗用の選手は今年4年になる、大沼すず音。全日本女王として、追われる立場になった大沼。途中で接ペナルティを2回記録してしまいますが、乗用Bのほとんどの男子選手よりも速い3分45秒という驚異的なタイムでゴールイン。追いすがる他の選手を打ち倒し、女子乗用の部を制しました。

 最後に女子貨物の選手として、2年、小林眞緒が出走しました。早稲田としては最下級生での出場となった彼女は、当然公式大会の出場も初です。緊張で縮こまった走りになるかと思われましたが、丁寧でかつ、練習以上の思い切った走りを見せ、公式大会初戦ながら見事にノーペナルティ完走を果たしました。残念ながら、タイム差により女子貨物3位という結果にはなったものの、今後の成長に十分期待が持てる結果となりました。


 今大会も結果発表は後日、オンラインでの発表となったため、大会終了後は発表までピリピリとした緊張感のある雰囲気となりました。そして大会の翌日。男子団体の部で準優勝、女子団体の部で優勝という結果が確定いたしました。フィギュアでの女子団体優勝は2014年度の全日フィギュア以来、実に7年ぶりの快挙となりました。

最終結果は以下の通りとなります。

【乗用の部・男子】

乗用A・中野龍太:3位(総減点18)

乗用B・神林崇亮:6位(総減点82)

【乗用の部・女子】

大沼すず音:優勝(総減点43)

【貨物の部・男子】

貨物A・最上佳樹:優勝(総減点11)

貨物B・山田 龍:準優勝(総減点53)

【貨物の部・女子】

小林眞緒:3位(総減点142)

【男子団体の部】

優勝:慶應義塾大学

準優勝:早稲田大学

3位:中央大学

【女子団体の部】

優勝:早稲田大学

準優勝:立教大学

3位:慶應義塾大学

 絶対優勝を掲げ挑んだ今大会ですが、男子団体の部は準優勝に終わり、完全制覇はなりませんでした。秋の全日本戦でのリベンジ、そして女子は王座防衛を目指し、一層努力して参ります。また、これから始まるスピード競技シーズンでは、文字通りの完全制覇を目指し戦ってまいります。

 この場をお借りしまして、日頃よりご指導、ご鞭撻頂いているOB・OGの皆様、ご支援いただいている皆様に、深く感謝申し上げます。また、厳しい状況にも関わらず、大会開催にご尽力いただきました皆様に、改めて御礼申し上げます。

 今後とも、早稲田大学自動車部への応援、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。