【GPレポート】11月20日 全日本学生自動車運転競技選手権

2022年11月20日、鈴鹿サーキット西コースパドックにて、全日本学生自動車運転競技選手権大会(通称:全日フィギュア)が開催されました。

 

早稲田大学自動車部の目標である全日本学生自動車連盟年間総合杯(以下、全日総合杯)をかけた最終戦、全日フィギュア。他の2種目に対し、とりわけ全日フィギュアは長年優勝から遠のいていることもあり、そろそろ勝ち星が欲しい頃合いです。また全日総合杯においては、今大会までの成績で辛くも暫定首位。全日フィギュアのタイトル獲得にのみならず、全日総合杯獲得のためにも負けられない一戦です。

 

記録のデータ化と密度の高い練習を経て、過去最高の準備を以て臨んだ2022年度全日フィギュアは異例も異例、鈴鹿サーキットでの開催となりました。前日まで雨予報が出ていたものの早朝には収まり、じっとりと冷え込んだ鈴鹿の地が選手たちを迎えます。

 

今大会で異なる点は大きく分けて2つ。1つは数年ぶりのオープン開催である点。会場が開かれているため朝慣熟があり、また開会式・閉会式があるなど、コロナ禍前の様相が返ってきました。2つはオープン枠がある点です。女子選手・オープンの走行中に空いているAコースを用いて、選手でないオープン枠も走行することができる運びとなりました。

 

慣熟で練習と本番コースのギャップを埋め、コンセントレーションを高めた早稲田勢の一番槍は男子貨物A・近藤怜(3年)です。

「これまでの練習で培ってきたものを、全て出すだけ。」と語っていた近藤は5分50秒・接1同乗3点とまずまずの結果。まだ2走目のため他大の結果次第となりました。

近藤は「いい緊張感で走れたが、細かいミスが重なり結果に出てしまった。」と振り返る

 

続いて出走となったのは男子貨物B・大矢根洋(2年)です。出走前「初めての全日本フィギュア、胸を借りるつもりで参加させていただきます。」と語っていた大矢根の表情は、気迫と緊張が混然一体となっていました。

程なくして慣付け時間が終わる頃、周囲にどよめきが走ります。それもそのはず。持ち時間の90秒が過ぎても車輛が静止していなかったからです。結果、6分19秒にスタートペナルティの30点が加算されてしまいます。

走行後にはペナルティを悔やみつつも「正直実力不足だった。オフィシャルな試合の場になると、全ての操作が遅くなってしまうと改めて感じた。」と残しました。

次期車輛係である大矢根はフィギュア会場においても指差呼称「ヨシ!」

 

男子貨物組の出走が終わり、男子乗用組も出陣を始めます。まずは男子乗用B・柳内滉洋(3年)です。

大会参加者で唯一(?)である個人物のヤリスステアリングを持参し気合は十分。「練習などでサポートしてくれた人たちに、恥ずかしいところは見せられない。」と意気込みます。

気迫あふれる走りは結果にも表れ、4分8秒・同乗3点の好スコアで暫定首位に躍り出ます。「(結果はまだわからないが)練習通りに走れたかなと思う。効果的な練習のおかげで、悔いのない走りができた。」と控えめなコメントを寄せています。

同期に見守られる中冷静沈着な走りを見せる柳内

 

男子乗用組最後の出走は、早稲田が誇るフィギュアの大エース。男子乗用A・中野龍太(4年)です。

出走直前の中野

「ここで大口を叩くと変なことをしそうなので、やめておきます。」と語る中野は、淡々とルーチンをこなし車輛へと乗り込んでいく。その表情は張りつめているようで、しかしながら自然と絶対の信頼を置いてしまうような余裕を感じさせます。

結果は5分9秒、かつノンペナルティと完璧な記録を叩き出し、こちらも暫定首位をマーク。

走行後に中野は「まあこんなもんじゃないですかね。憧れの人には近づけなかった。」と語りました。

開口一番「自分より柳内の活躍がうれしい。」と語るあたりさすが4年生といったところ

 

ここからは閑話休題、オープン枠の紹介です。早稲田からは乗用オープン・岩澤秀造(2年)、貨物オープン・平石大智(2年)が出走しました。

「目指すは早稲田勢で乗用総ナメ」(岩澤)「オープンの中で一番取ります。」(平石)と語る二人でしたが、岩澤がTO、平石が7分29秒・同乗3点という結果に終わりました。来年以降ガンバってほしいところです。

 

舞台は午後に移り変わり、女子貨物・小林眞緒(3年)の出走です。

真剣なコメントを求めても「バナナうまい。」と答えた彼女。緊張が行き過ぎたのか、遠い目でそう答えていました。5分54秒・ノンペナルティと圧倒的な実力を見せる姿には、密かに「女帝」と呼ばれているのも納得。

乗車後には「バナナおいしかったです。」と語るものの、未だ興奮冷めやらない様子でありました。

後に「緊張しすぎてバナナしか考えていなかった」と話していた小林は走行終了し安堵の表情

 

早稲田最後の出走は、女子乗用・石山萌乃(3年)。当日の午前、石山にコメントを求めたところ「大丈夫、うちら最強だから。」と、小林と語っていました。その小林がマークした首位を追うように5分19秒・同乗3点と好成績。ペナルティの差で競り勝ち無事首位を獲得しました。

これについて石山は「他大のペナ勝ちという結果になったのは不甲斐ないが、個人の反省で済んでよかった。」と振り返ります。

しかしながら出走前の言葉に対し申し分のない結果を収め、女子個人団体優勝という素晴らしい結果を成し遂げた二人のチカラが輝いていたことは事実でしょう。

歓喜する女子選手二人

 

以上で一通りの出走が終了しました。最後に乗用・貨物それぞれで総合優勝を決める優勝決定戦が行われ、早稲田からは乗用の中野、柳内が参戦しました。

「団体順位には影響がないため気楽に走ったが、最後まであこがれていた先輩に及ぶことができなかったということが心残り。そうした気持ちではあるが、総合優勝を取ることができたということは素直に喜ばしく思う。」(中野)

「Bコースに注力した結果、Bでは成果が出せたのでそれでよかったと思う。Aコースも練習できるくらいの余裕があるとなおよかった。」(柳内)

と語られているように、優勝決定戦は代表として走っていない方のコースを走り、A,B両コースでの減点を合算し決定されます。

特に乗用は全員がBコースの練習をしていたため、とりわけ中野が快勝する結果となりました。

 

最終結果は以下の通りとなります。

【男子団体の部】
優勝 :中央大学   (350点)
準優勝:早稲田大学  (330点)
3位 :慶應義塾大学 (310点)
 
【女子団体の部】
優勝 :早稲田大学  (200点)
準優勝:慶應義塾大学 (160点)
3位 :立教大学   (130点)
 
【男子個人】
乗用A・中野龍太:優勝 (総減点65)
乗用B・柳内滉洋:優勝 (総減点37)
貨物A・近藤 怜:3位 (総減点98)
貨物B・大矢根洋:5位 (総減点130)
 
【女子個人】
乗用・石山萌乃:優勝 (総減点73)
貨物・小林眞緒:優勝 (総減点87)
 
【オープン】
乗用・岩澤秀造:T.O 
貨物・平石大智:総減点138 
 
【優勝決定戦(乗用)】
総合優勝:4年・中野龍太  (減点合計115点)
2位  :慶大・後藤正太郎 (同133点)
3位  :中大・水口来夢  (同168点)
4位  :3年・柳内滉洋  (同195点)
 
 
 今回の結果を受けまして、暫定的ではありますが男子女子団体における全日本総合杯の確定が確定いたしました。これにより、弊部で(おそらく)史上初の全日本総合杯3連覇を獲得することができました。

この場をお借りいたしまして、日頃よりご指導頂いておりますOB・OGの皆様。ご支援頂いておりますスポンサーの皆様。応援頂いております皆様に、深く感謝申し上げます。

来年の全日本フィギュアでは優勝を目指すとともに、全日本総合杯の4連覇を達成できるよう全力で努力してまいりますので、今後とも早稲田大学自動車部へのご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。