【GPレポート】11月29日 全日本フィギュア

11月29日、東京都・世田谷区の警視庁交通安全教育センターにて、全日本学生自動車運転競技選手権大会(通称:全日フィギュア)が開催されました。

2020年度は新型コロナウイルスの影響でほとんどの大会が中止、この全日フィギュアも開催が危ぶまれていましたが、大会関係者の皆様の並外れた努力の結果、従来とは全く異なる新しい様式の下で開催される運びとなりました。

迎えた当日、多摩川の土手沿いに位置する交通安全教育センターは好天に恵まれました。しかし、昼頃を境に日が陰り、早稲田が出走する13時過ぎには風の強さも相まって寒さが厳しいコンディションとなります。 

今大会は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、様々な工夫が行われました。競技車両の消毒をはじめ、選手の競技中のマスク着用が徹底されました。また、会場の入場者数も制限され、早稲田からは選手のみが会場入りすることになりました。更に、いわゆるソーシャルバブルの考え方が導入されており、各大学は1時間しか会場に滞在することができず、なるべく他大学の部員との接触が減らされることとなりました。

早稲田の選手が会場入りしたのは13時過ぎ。前の大学の走行を見る事が出来るとはいえ、慣熟歩行ができるのはわずか10分。クローズドコースで争われた今回は、コース発表が前日であったことからそのコース自体の練習はできていません。短い時間でイメージトレーニングを行い、各選手が出来る限りの準備をして本番に臨みます。

会場入りの30分後、男子4選手が一斉にスタート。人員規制の影響で記録係も会場入りができず、各選手の走りの詳細をお伝えすることが出来ません。ここからはグランプリレポートもダイジェストでお伝えいたします。

乗用Aを走るのは4年、綠川壹丸。今大会を走る4年生選手のうちの1人で、今大会に懸ける想いは並々ならぬものがあります。各大学のエースが集う乗用Aコース、綠川はペナルティ無しで帰ってくることに成功します。ところが、「守りのフィギュアをしてしまった」と語る綠川、タイムが伸び悩み4番手という結果に終わります。

乗用Bの選手は早稲田男子唯一の3年となる中山将志。先日の松代練を思い出させるような教習所独特の方向転換エリアを使ったコースを駆け抜けます。リア狭路で逆サイ接があったものの、結果は3番手。中山は、「(リア狭路は)最も練習した場所でしたが…」と悔しがります。

主務も務める4年、渡邉道理は貨物Aを走ります。「直前の走者が好走したことでプレッシャーをかけられてしまった」と渡邉、難しいコースを素早く走り抜け、その選手よりも良いタイムを記録します。ところが、予想外の箇所で缶接を記録してしまった事で3番手まで後退。渡邉は「焦ってしまい見るべき場所を見ていなかった」と自身の走りを振り返ります。

そして、早稲田の主将は鷹尾一成。貨物Bに出走しました。エントリー10名中、8名が失格(タイムアウト:制限時間内に完走できず)という前代未聞の貨物Bコース、鷹尾は二大学のマッチレースと化したこのコースでトップタイムを記録します。しかし、鷹尾はまさかの缶接を喫してしまいます。「攻めた結果の缶接なので悔いはない」と語るも、他大の逆転を許し悔しい二番手に終わります。

男子4選手がゴールした後、満を持して3年、大沼すず音が出走。早稲田の女子選手として女子コースを走る大沼、このコースは乗用Bと全く同じコースでした。他大学の選手が次々とタイムアウトに倒れる中、大沼は缶を記録しながらもなんとかゴールイン。「男子部門でも入賞できる成績ではないのが悔しい。」と自分の結果には満足していない様子の大沼。しかし、唯一の女子コース完走者となった大沼、堂々の女子個人優勝を飾りました。

開会式や閉会式も無くなってしまった今大会、正式結果の発表まで数日待つ必要があり、部員たちはやきもきしながら数日を過ごします。水曜日、正式結果が通知され、早稲田の男子団体準優勝が確定しました。なお、女子は乗用、貨物含めて大沼しか完走者がいないという状況であったために早稲田が女子団体をも制したかに思われましたが、そもそも早稲田は女子団体の要件を満たしていないため、残念ながら幻の優勝となります。

最終結果は以下の通りとなります。

【乗用の部・男子】

乗用A・綠川壹丸:4位(総減点85)

乗用B・中山将志:3位(総減点80)

【乗用の部・女子】

大沼すず音:1位(総減点119)

【貨物の部・男子】

貨物A・渡邉道理:3位(総減点73)

貨物B・鷹尾一成:2位(総減点98)

【団体の部】

男子:準優勝(285点)

//2021.11.17追記 女子:優勝

コロナ禍の中で非常に難しい1年ではありましたが、唯一残った公式大会で男子準優勝という結果を残せたことは、早稲田の底力の強さを示すものでありました。しかし、優勝を目指していた以上、この結果は不本意なものでもあります。一方、女子も個人優勝は果たしたものの、満足と言える成績ではありませんでした。1年生の女子部員も増えた今、来年度以降は再びの男女アベック優勝に向けて、部員一同、今後とも精一杯努力を重ねてまいります。

最後に、この場をお借りして日頃よりご指導、ご鞭撻頂いているOB・OGの皆様に深く感謝を申し上げると同時に、今大会の開催にご尽力いただきました大会関係者の皆様に深く感謝申し上げます。皆様、誠にありがとうございました。

今後とも、早稲田大学自動車部への応援、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

//2021年11月17日追記

2021年11月11日付で、大会結果の訂正がありました。本文中に記載の通り、早稲田は女子選手が1名のみの出場で団体の要件を満たしていないものと考えられていましたが、平成24年に制定された「女子団体戦運用規定」を確認した結果、出場選手が1名でも団体戦の権利があるとのことでした。したがって、2020年度の全日本学生自動車運転競技選手権女子団体の部は、早稲田大学が優勝となりました。