【GPレポート】8月1日 全日本学生ダートトライアル選手権大会

2021年8月1日、広島県のテクニックステージタカタにて、全日本学生ダートトライアル選手権大会が開催されました。当日の天気は快晴。人にもクルマにも厳しい高温の環境ですが、幸いにして風は強く、日陰にさえ入れば暑さをしのぐこともできます。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年度大会は中止になってしまいました。3年前の広島2年前の丸和、どちらも共に男子団体4位に終わっており、今年度は必勝の構えで大会に臨みました。しかし、今年の全日Dは、2018年以来3年ぶりとなる広島での開催。今年度は全関東を制して全日戦に進んだものの、アウェーでの厳しい戦いが予想されます。

 今年度の選手は、出場する5名全員、ダート経験がほとんどないという初心者。また、部としても広島での大会を経験した部員が4年生のみという状況だったため、例年以上に全日Dへの準備を念入りに行ってきました。大会2日前の金曜日を移動日とし、十分な休養を取ったうえで土曜日の前日練習会に参加します。選手はもちろん、サポートの部員らも、関西勢とも戦えるという手ごたえを感じる練習会となりました。練習会後には、(有)高田スズキ販売様の整備工場をお借りし、試合車輌の最終確認を行いました。整備場所を貸して頂き、誠にありがとうございます。

整備は万全です

 翌日曜日、決戦の火蓋が切って落とされます。投入される車輌は全関Dから変わらず、男子は黒のホンダ・インテグラ(DC2)、女子はトヨタ・スターレット(EP82)。車輌係が「史上最高」と豪語するほどにパフォーマンスが高められたこの2台で、早稲田は勝利を目指します。今大会も午前・午後共に各選手が1本ずつ走行し、2本のうちのベストタイムを合算した値によって団体順位が決定します。

 早稲田の男子第一走者は3年、神林崇亮。今までの練習1本1本を丁寧に振り返り、慣れないタカタのコースに挑みます。しかし、「プレッシャーに負けてしまった」という神林、2:16.171というタイムで19番手に沈みます。

 続いての出走は女子第一走者の4年、大沼すず音。「結果を残す事を意識した」と語る大沼ですが、男子顔負けの走りを披露し、2:12.716というタイムを記録。堂々の女子トップタイムで午前を折り返します。

出走を待つ大沼

 男子の部、第二走者は3年、中野龍太。前日までは納得の行く走りができず苦戦していましたが、ここで1本を上手くまとめて2:07.725というこの時点でのベストタイムを更新。午前全体でも4位という結果で、午後の走行への期待が高まります。

 続いては女子第二走者、2年小林眞緒。今大会から選手として出場します。ダートトライアル走行歴は前日練を含めてたったの3回という難しい状況の中、2:22.734で13人中4番手という位置につけました。小林は「まだまだ甘い」と語り、更なるタイムアップを誓います。

周囲を驚かせた初出場の小林

 午前最後の出走は第三走者、3年の最上佳樹。関東戦の勢いそのままに、全日戦での3競技制覇を目指して出走します。しかし、トップから1秒差の2番手に終わった最上。「(練習会で)未経験だったセクションが上手くいかなかった」と、アウェー戦の難しさを突きつけられる格好となりました。

 午前終了時点で、男子団体は広島工業大学に続く2番手。しかし、その差は僅か1.620秒と十分に逆転が可能な位置。地元勢を相手に、互角の戦いを演じます。一方、女子団体は2番手を6.385秒差で引き離しての1位。このまま逃げ切れるよう、午後の走行に備えます。

果敢に攻めた神林

 全ての運命が決まる午後の走行。午前よりトリッキーな路面が顔を出すテクニックステージタカタに、第一走者の神林が飛び出していきました。「とにかくアクセルを踏むことだけを意識した」という神林、2:09.166で午前から7秒ものタイムアップに成功。早稲田の意地を見せつけます。

 続いては女子第一走者の大沼。EP82スターレットを駆り、更なるタイムアップで女子優勝を決めるため果敢に攻めていきます。しかし、終盤セクションの深くなった轍に足を取られ、コントロールを失い土手に乗り上げてしまいます。そのまま木に激突して大クラッシュ、まさかのDNFとなってしまいました。大沼は念のため病院に向かいましたが、幸い軽症と診断されました。

ダメージを負ったスターレット

 クラッシュしたスターレットですが、ダメージが激しく、そのままでは出走できないという状態になってしまいました。リタイアという選択肢もありましたが、なんとしてでも第二走者の小林にバトンを繋ぐため、メンバー全員でスターレットの修復にあたります。本来は男子第二走者と第三走者の間に女子第二走者が走行しますが、特別に男子第三走者の後に出走が認められました。

 ピット内がスターレットの修復で慌ただしくなる中、男子第二走者の中野が出走します。ピット内の雰囲気に「勝てる流れ」を感じていたという中野、2:06.743でほぼ1秒のタイムアップ。しかし、「力が入りすぎた」という中野は個人7位に終わり、個人入賞を逃す結果となりました。

 各大学が続々と順位を確定させる中、早稲田の団体優勝はエース、最上佳樹に託されました。部員の想いを乗せて激走を見せた最上、2:03.627と2秒のタイムアップに成功します。ところが、ライバル選手もタイムアップを果たしており、僅か0.048秒及ばず個人2位。最上は「あそこでこうしておけば……」と、一瞬の判断を悔います。しかし、選手3名のベストタイムで争われる男子団体では、地元勢を0.309秒差でおさえて優勝!全日D優勝は2017年以来4年ぶり、広島での優勝はなんと2002年以来19年ぶりとなります。

団体優勝を決める走りを見せた最上

 最後に出走するのは、女子第二走者の小林です。スターレットは自走可能なところまで修復できましたが、連盟より出走が認められず、男子車輌の黒インテグラによる出走となりました。インテグラでのダート走行経験は皆無であった小林。本人も「怖かった」と語りますが、そんなことを微塵も感じさせない走りを披露します。無謀な挑戦であったにも関わらず、小林は自身のタイムを更新して2:18.006をマーク。しかし、午後になってタイムを上げてきた他大学に敗れ、女子は悔しい団体準優勝に終わりました。

 

最終結果は以下の通りとなります。

【男子団体】

優勝 :早稲田大学(6:19.536)

準優勝:広島大学(6:19.845)

3位 :広島工業大学(6:20.841)

【男子個人】

準優勝:最上 佳樹(2:03.627)

7位  :中野 龍太(2:06.743)

13位 :神林 崇亮(2:09.166)

【女子団体】

優勝 :同志社大学(4:26.772)

準優勝:早稲田大学(4:30.722)

【女子個人】

準優勝:大沼 すず音(2:12.716)

5位 :小林 眞緒(2:18.006)

 今回は男子団体が全日ダートを制するという、素晴らしい結果を収める事ができました。誰か個人の力ではなく、チーム一丸となって掴むことができた勝利だと感じております。一方、女子は悔しい団体準優勝、個人としても最高位は準優勝に終わるなど、まだまだ強くなれる余地が残された大会でもありました。

 次大会は8月29日、鈴鹿サーキットにて行われる全日本ジムカーナとなります。難しい状況が続いていますが、今後も『常勝早稲田』を実現できるよう、精一杯努力して参ります。

団体優勝を飾った男子。

 

次大会でのリベンジを誓う女子

この場をお借りして、日頃よりご支援いただいております皆様に改めまして深く感謝申し上げます。

 今後とも早稲田大学自動車部へのご支援、ご声援のほど、何卒よろしくお願いいたします。